【横山美術館】企画展「超絶技巧の七宝展」開催

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企画展「超絶技巧の七宝展」

 七宝は、銅や銀といった金属などの素地に釉薬を融着させて制作し、鮮やかな色彩が七つの宝石に例えられる美しいやきもので、七宝焼とも称されます。紀元前のエジプトで始まったといわれ、日本へは古墳時代末期に伝わりました。江戸時代後期に尾張藩士の梶常吉が創出した尾張七宝は、明治時代以降の重要な輸出品として、湧き上がるような技術革新を引き起こします。それは従来の七宝が、くぼめた穴の部分に釉薬を施す「象嵌」であったのに対し、銀や金などの細い帯状の金属線を貼り付けた中に釉薬を盛り込む「有線七宝」や、その植線を用いずに釉薬でグラデーションを生み出す「無線七宝」など、近代七宝の極みともいうべき職人技の発展でした。尾張七宝の技法は各地に広まって帝室技芸員を誕生させた一方で、高度な技術を有しながらも、その名が知られずにいる名工たちの活躍もあったのです。
 世界を驚嘆させた緻密な植線の生み出す繊細な美と、神業のような彩りが織りなす超絶技巧。明治時代から戦前の新規収蔵品を中心に、どうぞご覧ください。

【展示作品・見どころ紹介】

~技法による表現の違い~

細かく植え付けられた金属線の輝き、釉薬の色彩、素地ごとの質感。技法によって異なる表現やデザインを、約250点の展示作品からご覧いただきます。

有線七宝

《七宝山桜雀図花瓶》明治時代後期~大正時代
輪郭となる金属線は一本ずつ手作業で植え付けている

無線七宝

山田《無線七宝富士図花瓶(一対)》明治時代後期~昭和時代
水墨画や水彩画のような美術的表現が特徴

陶磁胎七宝

七宝会社 竹内忠兵衛《染付磁胎七宝秋草蝶図花瓶》明治5年~20年頃
素地を陶器や磁器で制作したもの

銀胎七宝

《銀胎無線七宝藤金魚図花瓶》明治時代後期
素地が白く光り輝き、釉薬の色彩が鮮やかに映える

省胎七宝

《省胎七宝花図花瓶》大正時代か
ステンドグラスのような透光性があり、美しく繊細

鎚起七宝

安藤七宝店《鎚起七宝梅鳩図花瓶》昭和時代前期
内側から打ち出した部分に釉薬を盛る技法

泥七宝

《七宝花鳥図皿》幕末~明治時代前期
梶常吉が開発した、不透明で光沢のない釉薬の七宝

尾張の名工と東西の七宝

帝室技芸員に任命された「東のナミカワ」・濤川惣助と「西のナミカワ」・並河靖之。その技術のルーツとなった尾張七宝を中心に、並河靖之を始めとする西の京七宝、東の横浜七宝などを紹介します。

尾張

林小傳治《七宝桜雀図花瓶(一対)》明治時代中期~後期
《七宝梅鳩図大花瓶》明治時代中期~後期
太田吉三郎か《七宝枝垂桜図花瓶(一対)》明治時代後期~大正時代
粂野締太郎《七宝梅鳳凰図花瓶》明治時代後期~昭和時代前期

西(京七宝)

並河靖之《七宝草花雀図花瓶》明治時代中期~大正12年
六代 錦光山宗兵衛《陶胎七宝花蝶図花瓶(一対)》明治時代前期~中期
錦雲軒稲葉《七宝波千鳥図花瓶》明治時代後期~昭和時代

東(横浜七宝)

河野由太郎《七宝僧侶図花瓶》明治時代後期~大正時代

開催概要

• 企画展名:「超絶技巧の七宝展」
• 会  期:2025年9月19日(金)~12月21日(日)
• 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
• 休 館 日 :毎週月曜日(祝・休日の場合開館、翌平日休館)
• 入 館 料 :一般1,000円(800円)、高・大学生・シニア65歳以上800円(600円)、中学生600円(400円)、小学生以下無料 *( )内は20名以上の団体料金/障がい者手帳をお持ちの方700円
• 後  援:愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会、あま市、名古屋市立小中学校PTA協議会
• 協  力:あま市七宝焼アートヴィレッジ

関連イベント

講演会「現代に生きる 尾張七宝の伝統技法」
長年にわたって安藤七宝で制作に携わり、作家としても活躍された苦労と喜びについて、実演を交えながらお話しいただきます。

• 日  時:11月2日(日) 13:30~15:00
• 講  師:森 三喜男 氏(元・日本工芸会 正会員)
• 参 加 費 :入館料のみ
• 定  員:40名(要事前申込)

ギャラリートーク
学芸員による展示(企画展・常設展)解説を行います。

• 日  時:9月20日(土)、10月4日(土)、10月18日(土) 、11月1日(土)、11月15日(土)、12月6日(土)、12月20日(土) 各日13:30~ 1時間程度
• 場  所:横山美術館展示室
※事前申込不要、要入館料

関連販売

• 企画展パンフレット:300円(税込)
• 七宝デザイン クリアファイル:100円(税込)

横山美術館について


横山美術館は、明治・大正時代に制作された輸出陶磁器の里帰り品を中心に収集・展示をしている美術館です。名古屋周辺で制作された輸出陶磁器、日本初の洋風陶磁器であるオールドノリタケ、まとまった作品群を目にする機会が少ない隅田焼など、息をのむほど緻密で大胆な作品の数々をご覧いただけます。

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